
言葉のズレを防ぐヒント
こんにちは!カスター麻理です。
最近、コミュニケーションに関するウェビナーに参加した際に聞いた話があまりにも「あるある」だったので、今日はその体験をきっかけに、お客様に本当に伝わる言葉選びについてお話ししたいと思います。
▼音声でもお聴き頂けます↓
「お茶を買って」で起きた世代間ギャップ
ウェビナーで紹介されたエピソードは、こんな内容でした。あるビジネスシーンで、上司が若手スタッフに「今日お客様との打ち合わせがあるから、お茶を買ってきて」と頼んだそうです。
上司は当然、お客様にお出しするお茶、つまり茶葉やティーパックを買ってきてもらうつもりでした。ところが、Z世代の若手スタッフが買ってきたのは、ペットボトルに入った緑茶だったのです。
この話は笑い話のようですが、実はとても深い問題を含んでいます。同じ「お茶を買ってきて」という言葉でも、世代や文化、生活習慣が違うと、そこから想像されるものはまるで違うということなのです。
つまり、私たちは「伝えたつもり」でも、相手は全く違う意味で受け取る可能性があるということです。これは、ネットショップの運営やお客様対応、スタッフへの指示でも起こりうることだと思いませんか?
言葉にしないと通じない時代
私はアメリカに住んでいるため、日々「言葉にしないと通じない」環境にいます。アメリカは多様性の国で、言語も文化も育ってきた背景もみんな違う人たちの集まりです。だからこそ、言葉を尽くして伝えることが当たり前なのです。
一方、日本には「言わなくてもわかる」「察する」文化がまだ残っていますよね。それが良いこともたくさんあると思います。しかし、ビジネスの現場では、その「察してよ」が命取りになることもあります。
特にネットショップの世界では、お客様が画面越しに商品を見て買うかどうかを判断するわけです。その場合、言葉の伝え方がそのまま売上に直結することもあるのではないでしょうか。
わかりやすさへの基準が高まっている
最近、改めて「わかりやすさって大事だな」と実感した出来事がありました。私は長年、アメリカの大手銀行を利用してきたのですが、カスタマーサービスに問い合わせた際に何度もたらい回しにされ、説明もわかりにくく、サポートの人も内容を理解していない状況でした。
「今時こんな不親切なサービスがあるのか」と逆に驚いてしまったのですが、それだけ私が驚いたのは、最近のサービスに対するわかりやすさの基準が高くなっているからだと思います。
最近では、わかりにくいことイコール不親切だと感じる人が多くなっています。そう感じた瞬間、お客様は他の選択肢を探し始めるわけです。
わかりやすく伝える3つのポイント
では、具体的にどうやってわかりやすく伝えていけばよいのでしょうか。私は3つの視点で考えることをおすすめします。
1. 専門用語を使わない
まず最初のポイントは、専門用語を使わないことです。例えば、ネットショップの運営では「コンバージョン率が下がってきたので、LPをABテストしましょう」といった表現をよく使います。
これは業界内なら通じるのですが、一般のお客様にとっては暗号のように聞こえてしまいます。できるだけ日常的な言葉に置き換えて伝えることが大切です。
例えば「このページの内容を少し変えて、どちらが効果的か試してみましょう」といった表現の方が断然伝わりやすくなります。
2. 略語を避ける
二つ目のポイントは、略語を避けることです。これは日本でもアメリカでも同じだと思うのですが、略語は知っている人には便利ですが、知らない人には完全に壁のように感じられてしまいます。
CRM、SKU、CTAなど、ついつい使ってしまいがちな略語も、お客様向けには極力使わずに丁寧に言い換えることが重要です。
3. 相手のわかる場所まで下りていく
三つ目のポイントは、相手のわかる場所まで下りていくことです。これはどの業界でも共通することですが、結局これが一番大事だと思います。
自分の伝えたいことをそのまま投げるのではなく、相手の立場や知識レベルに合わせて、いわば「翻訳」するような力が必要です。
様々な場面で活用できるわかりやすさ
この「わかりやすく伝える」という考え方は、お客様への案内だけでなく、スタッフへのマニュアル作成や外注先への説明でも重要です。わかりやすいかどうかが、プロジェクトのスムーズさを左右することもあります。
伝える側が「これくらいわかってくれるだろう」と思ってしまうと、そこに認識のずれが生まれ、後悔や不満につながってしまいます。わかりやすく、丁寧に伝えようと意識するだけでも、お客様からの信頼やリピート購入は確実に変わってきます。
言葉はコストゼロの最高のサービス
言葉というのは、コストゼロでできる最高のカスタマーサービスです。特別な設備や投資は必要ありません。ただ、相手の立場に立って、わかりやすい言葉を選ぶだけです。
しかし、この「ただ」が実は一番難しいことかもしれません。なぜなら、私たちは自分の知識や経験を基準に話してしまいがちだからです。
認識のずれを前提とした伝え方
大切なのは、伝える側と受ける側にはいつも認識のずれがあるということを念頭に置くことです。そのうえで、伝える私たちが一歩下りて、相手に合わせた言葉を選び、「わかる」を作る努力が必要なのです。
これは単なる親切心ではありません。ビジネスの成功に直結する重要なスキルです。お客様が理解しやすい説明ができれば、商品の魅力がより伝わり、購入につながりやすくなります。
また、わかりやすい説明は、お客様の不安を取り除く効果もあります。ネットショップでは、お客様は実際に商品を手に取って確認することができません。だからこそ、言葉による説明の質が、お客様の購入決定を大きく左右するのです。
継続的な改善が鍵
わかりやすい伝え方は、一度身につけたら終わりではありません。お客様の層や時代とともに、「わかりやすい」の基準も変化していきます。
定期的にお客様からのフィードバックを収集し、どの部分がわかりにくいと感じられているのかを把握することが重要です。そして、その情報を基に、より良い表現方法を模索し続けることが、長期的な成功につながります。
今回お話しした内容が、あなたのネットショップ運営やお客様対応に少しでもお役に立てれば嬉しいです。言葉の力を活用して、お客様との信頼関係を築き、ビジネスの成長につなげていきましょう。